F値と被写界深度の知っておきたいポイント4つ

F値と絞りと被写界深度

F値とはレンズから撮像素子(いわゆるフィルム部分)へ向けて通る明るさの値のこと。明るさはレンズの中にある絞り羽根という丸く組合わさった6〜9枚の金属ブレードが絞られるように開閉して光の通り道の幅を調節しており、この光の通り道の穴の直径を焦点距離(レンズと撮像素子との距離)で割った値をF値という数字に割り当て示しています。

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まずはF値について理解しよう

F値は、F2.8、F4.0、F5.6、F8・・・のように数値で表していきます。この数は焦点距離からレンズの絞り穴の直径を割って求めることができ、例えば、50mmの焦点距離レンズで絞り穴の直径が12.5mmだった場合、
 

F = 50mm ÷ 12.5mm
F = 4 
 
よってF値はF4になります。
 
次に、50mm焦点距離レンズで絞り直径が25mmの場合では、
 
F = 50mm ÷ 25mm
F = 2
 
F値はF2。
 
ここで注目したいのは、つまり、F値の数が小さいほど絞りは開き方向でレンズを通る光の量は多い状態にあり、F値の数が大きいほど絞りは閉じ方向でレンズを通る光の量は少ないことになります。
 
この関係に最初は少し戸惑いますが、意識してカメラを使っているとすぐに慣れてきますのでご心配なく。

F値が大きい=絞りが閉じる
F値が小さい=絞りが開く

 まずは使用するレンズの絞り「F値」の最大に開いている状態から最小に閉じている状態までの順番を覚えておくことが基本といえるでしょう。

絞りを開く閉じる

 
開いて通る光の量が多い↑
F1.4
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F22
F32
閉じて通る光の量が少ない↓

 F値と絞りにおける段とは

なお、このF値の並びには法則があり、人の目が感じる明るさをF1として、F1.4 〜 F22のように続き、レンズに通る光量が半分になる度にF値が1.4の倍数で大きくなります。逆に光量が倍になると1. 4の倍数でF値が小さくなります。この1.4倍数の段階ごとにF値を上下させることを「一段絞る、一段開く」と表現します。つまり、F値の数値は2の等比数列の関係になっており、シャッター速度が同じ状況ですと、絞りを一段開けると光量が2倍になり、逆に一段絞ると光量が1/2になります。
F値絞りの段について
 

 F値で操作する被写界深度

F値を極める aperture

さて、この絞りの値であるF値。数値が小さいほど絞りが開いて光が通る穴の面積は大きくなり、素早く光を多く取り込むことができますが、特性としてピントの合う奥行き幅が狭くなります。逆にF値の数が大きいほど絞りが閉じて穴の面積は狭くなり、光の取込みに時間を要してしまいますが、ピントの合う奥行き幅が広くなる特性があります。このようにF値を変えることで被写体にピントが合って見える範囲を「被写界深度」英語では”depth of field”といいます。

被写界深度とF値

F値・絞りと被写界深度の関係は、

F値小さい=絞り開く=被写界深度が浅い
F値大きい=絞り閉じ=被写界深度が深い

 となります。下の画像は前景にピントを合わせて、レンズのF値をF 2.8 → F8 → F22 と変えて撮影してみました。各F値ごとの背景のボケ具合の違いを確認ください。
 
F値による被写界深度の比較
 
こうして見るとF値を変える事によって被写界深度による描写の違いがはっきり確認できますよね。もちろん意図的に被写界深度を操作してボケを活用する事で表現の幅がグッと広がりますから、F値による被写界深度のコントロールは一眼レフ入門の初歩の段階でマスターしたいところです。
 
この被写界深度の仕組みを理解するには光の性質とレンズについて少し知る必要があります。簡単に説明しますと、私たち人間が目で遠くの物をハッキリ見ようとする時まぶたをしぼませて見ようとしますよね。これは目をしぼませることで絞りを調整して焦点が合って見える奥行き幅を変化させているため。そしてカメラも基本的に同じことをやってピントの合う範囲を調節しているのです。
 
また、写真にピントの合う奥行き幅があるということは、それを取込むカメラ側にも同じようにピント(焦点)として認識している奥行き幅があるということになります。そのカメラ側でピントが合って見える範囲を「焦点深度」といい、絞り穴から入射する光の大きさとレンズによる屈折等で焦点として見える範囲を変化させており、F値の調節によって写真の被写界深度が変わるのはそのためです。
 
そして、カメラからピントを合わせる被写体までの距離が近いほど被写界深度が扱いやすくピント前後がボケやすくなり、逆に遠いほどボケにくくなるなどの特性もあります。これは被写体までの距離によって被写界深度の奥行きが前後するためで、レンズによって異なりますが、距離が遠いほどボケにくくなるのはピントを合わせた被写界深度の幅が遠いほど深くなるためです。
 
最初は少しややこしいですが良い写真を撮る上で全ての仕組みを理解する必要はありません。要するにカメラはレンズを通して入ってくる光量を絞り羽根の開閉幅とシャッターが開いている時間で管理しており、F値と呼ばれる絞り幅の調節で被写界深度を浅くしたり深くしたりできると考えればシンプルです。

F値・絞りと被写界深度の関係

 絞りと被写界深度とシャッタースピードの関係を下記まとめてみました。これらは被写界深度を意識した撮影の基本になるので覚えておきましょう。

F値 絞り 被写界深度 シャッタースピード

開放F値とレンズ

このF値を最大に開いた状態を「絞り開放」といい、その開放F値でレンズの明るさを示しています。通常の単焦点レンズでは1:2.8のように、ズームレンズでは焦点域で開放F値が変わるため1:3.5-5.6のようにF値の幅がレンズ本体に記載されていて、各レンズの絞り開放の明るさをF値で示しています。
 
一般的にF値が小さいレンズほど光を取込みやすい明るいレンズといわれており速いシャッター速度で写真を撮ることができます。F値が大きい場合はその逆で絞られるほど暗くなりシャッター速度が遅くなります。つまり、F値とシャッタースピードは相互依存の関係にあり、どちらかを優先することで被写体の状況に応じながら意図した露出で描写できるようになります。
被写体の描写においてF値・絞りの理解はとても重要。使用するレンズのF値を理解して被写界深度をコントロールできれば表現の幅も広がり写真がさらに楽しくなるでしょう。
 
F値と被写界深度をネコで表現

これだけは知っておこうF値・絞りのポイント4つ

  • F値・絞り値はカメラのボディ側ではなくレンズの中の機構(絞り羽根)で調節される。
  • F値が小さいほど被写界深度は狭く、大きいほど被写界深度は広い。
  • F値が小さいレンズほど速いシャッター速度で撮影でき、F値が大きいほど遅くなる。
  • 被写体までの距離が近いとピントの前後がぼけやすく、逆に遠いほどぼけにくくなる。

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